中学受験算数で方程式は使っていいの？マルイチ算とは？

中学受験のサポートにはさまざまな側面がありますが、その中でも特に多くの保護者が悩むのが算数の指導です。

中学受験経験のある保護者でも、算数を教えるのは難しいと感じることが少なくありません。

その理由の一つが、「方程式を使わずに教えることの難しさ」です。

中学・高校で数学を学んだ保護者の多くは、方程式を使うことで問題をスムーズに解けると考えがち。

しかし、中学受験の塾では方程式を使わずに解くことが基本とされています。

では、中学受験算数で方程式を使うことにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

この記事で詳しく解説していきます。

中学受験算数で方程式が推奨されない理由

中学受験の算数は、小学校の学習指導要領の範囲内で出題されるため、本来、方程式を使わなくても解ける問題ばかりです。

受験算数の目的は、試行錯誤しながら論理的に解く力を養うことであり、そこに面白さもあります。

方程式を使うことによるデメリットとして、次のような点が挙げられるでしょう。

思考力を育む機会を失う

中学受験の算数は、「試行錯誤」「論理的思考」「発想力」を問う問題が多く出題されます。

方程式に頼りすぎると、図や具体的な数値を使って考える力が育ちにくくなる可能性があります。

例えば、旅人算やつるかめ算といった問題は、比や図を使って考えることで直感的に理解しやすくなります。

しかし、方程式を使ってしまうと、式を解くことに集中してしまい、本来の問題の意味を理解しにくくなることがあります。

計算スピードが落ちることがある

方程式を立てる→解くというプロセスを踏むと、計算量が増え、時間がかかることがあります。

特に、文章題や割合・比の問題では、工夫して解くほうが速くなることが多いです。

いわゆる典型問題のレベルでは、正直それほどの差は生じないかもしれません。

しかし、いくつかの段階を踏んで論理的に整理していかなければならない問題では、方程式に頼ることで思考が止まりやすくなることがあります。

「マルイチ算」と方程式の違い

中学受験算数の代表的な解法の一つに「マルイチ算」があります。

方程式と考え方は似ていますが、数学的な式を使わずに比や割合を整理して解く方法です。

マルイチ算と方程式の比較を例題を使って考えてみましょう。

まずは、マルイチ算で解いてみましょう。

Cくんを「①」とすると、

Bくんは ①×3＝③

Aくんは ③×2＝⑥と表すことができます。

すべての冊数を足すと、
①＋③＋⑥＝⑩

これが36冊なので、
①＝36 ÷ 10 = 3

Aくんは ⑥ なので、
 3×６ = 18冊となります。

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では、次に方程式で解いてみましょう。

Cくんをxとすると、

Bくんは 3x

Aくんは 2 × 3x = 6x

合計を式にすると、
x + 3x + 6x = 36

10x = 36 → x = 3

Aくんは 6x = 6 × 3 = 18冊となります。

どちらの解法が良いのか？

結論、 中学受験では「マルイチ算」の方がおすすめです。

比や割合の関係が分かりやすく、図をイメージして直感的に取り組めることが大きな特徴です。

方程式の概念を理解しなくても取り組めるため、負荷をかけずに解くことができます。

ただし、中学以降は「方程式」が便利で活用していくことは念頭に置いてください。

多様な問題に対応でき、抽象的な問題や複雑な式を扱えることが方程式の特徴です。

算数で保護者ができるサポートとは？

保護者が算数をフォローする際は、お子さんが塾でどのように習っているのかを理解し、その解法でサポートすることが大切です。

塾の方針と異なる解き方を教えてしまうと、お子さんが混乱し、算数の苦手意識につながることもあります。

また、「方程式を使わない解法」を理解しておくと、お子さんが悩んだときに適切なアドバイスができるようになります。

算数の本質をしっかり理解し、論理的に解く力を身につけることが、受験成功のカギとなるでしょう。