中学受験を見据えるご家庭の中には、「子どもに算数を教えたほうがいいの?」と悩まれる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、中学受験の算数への保護者の関わり方について解説していきます。
小澤 珠美
大学卒業後、15年間大手進学塾・株式会社早稲田アカデミーで、高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2009年度志望校別クラス・NN女子学院クラス総責任者。2010年に独立。
算数を教え込まないのが重要
中学入試において、最も比重が高い科目は、やはり算数です。
ですが、「中学入試の算数」に関しては、パパやママが「教え込まない」点が、ポイントかと思います。
もちろん、お父様やお母様が、プロの算数の先生である。あるいは、中学生になって使う「方程式」を、お子さんに完璧にマスターさせて、自在に使いこなせる状態まで持っていくという覚悟がある。
そうした場合には、「中学入試の算数」を、徹底的に教えることもできるでしょうし、質問にも対応できることでしょう。ただ、実際には、そのようなケースは、かなりレアだと思われます。
「とにかく、算数を何とかしなくちゃならない」という、プレッシャーをお感じになるのは、わかります。でも、そこは、グッとこらえていただきたいです。
4年生の後半からはひとり立ちさせる
一般的に4年生の前半までというのは、どの学習塾であっても「計算の基礎」を固める時期になっています。多少、図形や文章題等が出てくる場面がありますが、大事なのは、計算力が固まっているかどうか、という点。
その後、4年生の後半、夏休みが明けたぐらいから、本格的な受験算数に入ってきます。その段階で、「徐々に」お母様・お父様が、お子さんの算数から手を放すようにする。
ある程度、お子さんの横について教えることが必要なケースもあるかもしれません。でも、4年生の後半からは、徐々に「ひとり立ち」させる方向へ進まれるのが良いです。
ご家庭で、問題の解き方を教える。もしくは、「テキストの解説」を解説する、といった、中学受験的には「望ましくない教え方」になってしまいます。
中学受験の算数にとって、お子さん自身が、入試を見据え、問題の背景を知った上で適切な解法を理解し、定着を図っていくのが重要です。
この部分を重視するならば、やはり、ご家庭でできることには限界があります。そこはやはり「プロ(塾の先生)」に任せてしまうのが、いちばんです。
お子さんの手には負えない問題については、塾で解決する。時間管理や体調管理といった、勉強をとりまく環境は、ご家庭でサポートする。そういう体制を作れたら、理想的です。
結論を申し上げれば、4年生後半から5年生にかけてのタイミングで、お子さん自身と塾の先生に、「算数を丸投げする」というのが、お子さんの「算数力」を伸ばす秘訣です。
お父さん・お母さんからすれば、不安に思うこともあるでしょう。しかし、そこはグッと堪えて、お子さん自身に、そして塾のプロ講師に、算数を任せてみてはどうでしょうか。