学園祭や文化祭は、受験を考えている小学生や保護者が出入りできる学校が多く、入学後の雰囲気を見学するために大切なイベントです。
しかし、9月から11月頃の土日に行われることが多く、いくつかの学校で文化祭の日程がかぶってしまうこともあるので、事前準備は重要です。
そこで今回は、学園祭や文化祭の見学をする前の事前準備について解説します。
小澤 珠美
大学卒業後、15年間大手進学塾・株式会社早稲田アカデミーで、高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2009年度志望校別クラス・NN女子学院クラス総責任者。2010年に独立。
中学受験の文化祭見学における大切なポイント
とりわけ秋の時期、いろいろな学校で、学園祭や文化祭、体育祭等、さまざまな学校行事を公開しています。
「学校選び」の一環とした学園祭・文化祭をまわる際には、次のポイントを意識するといいでしょう。
- 親の思いを子供に押し付けすぎない
- 戦略を練る
- 時間に余裕を持ってスケジュールを組む
それぞれについて解説します。
親の思いを子供に押し付けすぎない
受験校選定にあたっての、「譲れないもの」は、ご家庭で固まっていますでしょうか?
「通学時間」や「制服」にせよ、「学校の種別(男子校とか、進学校とか)」にせよ、「ここは譲れない」という条件は、お子さんを含め、是非、ご家族でご共有ください。
親は熱心でも、お子さんがそれを受け入れていない場合、主役であるお子さんの気持ちは、冷めてしまいがちです。
「マイナスのイメージ」に、いったんになってしまったものを、「プラスのイメージ」に戻すのは、非常に困難です。
4年生、5年生の段階でしたら、「譲れない条件」を厳格に定めすぎないようにしましょう。ちょっと力を抜いて、ゆるやかに学校をピックアップされていくといいと思います。
戦略を練る
とかく公私さまざまなスケジュールに押され、難しいことだとは思いますが、できれば、「文化祭まわり」を始める前に、ひと工夫ほしいところです。
それは何かと申しますと、可能ならば事前に、学校説明会に、保護者の方がご参加ください。
文化祭の前に、その学校の方針が、ご家庭の教育方針と一致しているのかどうか、という点を、しっかりと確認しておくことをおススメします。
「この点はいいが、この部分はちょっと合わないかな」「子どもが気に入るのであれば、許容範囲か」というように、ある程度、情報収集しておくことで、「文化祭まわり」の価値が、大きくふくらみます。
そして、さらに言うならば、「堅実な学校」「伝統のある(理想を言えば『古い校舎』のある)学校」から、優先的に訪問されるとよいと思います。
「堅実」というのは、いわゆる「派手さ」がない、あるいは「落ち着いた」という意味です。
「伝統のある(理想を言えば『古い校舎』のある)」というのは、どういう意味でしょう。たとえば、建て替えの行われていない古い校舎や教室は、大人の目から見れば、「趣のあるすてきな学習環境」に見えるかもしれません。
ところが、子どもは、どちらかというと、「真新しさ」に惹かれる傾向が強いものです。親御さんは魅力を感じられても、お子さんは、心を動かされないかもしれません。
でも、「新進気鋭の最先端の学校」を見てしまったあとで、古い校舎の学校を見ると、その学校がどんなにいい学校だとしても、マイナスのイメージを受けてしまう部分は、どうしても避けられないと思います。
ですから、「堅実な学校」や「伝統のある(『古い校舎』のある)学校」は、「最先端の学校」よりも前に、お子さんに見せてあげてください。
そのあと、「最先端の学校」を見たときに、大きなギャップを感じることはあるかもしれませんが、それによって、「伝統のある学校」に対する、マイナス要因が増えることはないでしょう。
時間に余裕を持ってスケジュールを組む
スケジュールがタイトで、駆け足で学校をまわるのは、NGです。もちろん、受験生(6年生)が、受験間際に、“1時間だけパッと”学校の様子を見て、受験するか否かを決める、というのは「あり」かもしれません。あまりおススメはしませんが。
でも、4年生や5年生であれば、お子さん(たち)が、各学校の雰囲気を感じるためには、ある程度、時間に余裕を持って見学されるのがいいでしょう。
その場合、「1日2校」が限度だと思います。いっぺんにあまり欲張ると、お子さんも親御さんも疲れてしまいます。
「学校選び」は、大変な作業です。根本は、受験生本人の意志を尊重しつつも、各ご家庭の教育方針が、どうしても大きく影響します。
ただその中で、パパやママの考えを、お子さんに無理やり押し付けた、というかたちは、絶対に避けましょう。
お子さん自らが、その学校の魅力を、素直に感じられる。そんな雰囲気づくりを、ぜひ、ご家庭で心がけていただきたいと思います。