受験生の保護者であれば、毎日のように口にする「もう宿題は終わったの?」という問いかけ。しかし、この声かけには注意が必要です。
今回は、お子さんに対する理想的な声かけについて、お話をさせていただきたいと思います。
小澤 珠美
大学卒業後、15年間大手進学塾・株式会社早稲田アカデミーで、高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2009年度志望校別クラス・NN女子学院クラス総責任者。2010年に独立。
「もう宿題は終わったの?」といった声かけに注意
受験生がいらっしゃるご家庭ならどこでも、毎日のように、飛び交うことばですよね。
学習スケジュールづくりがきちんとなされていて、そのスケジュール感が、ご家庭で共有できていると、本来は、問題にならないことなのですが……。それでも、保護者の方の口から、ついつい発せられてしまうことばだと思います。
このような時、皆さんのお子さんは、どんな風にお答えになるのでしょうか?
Aくん 「うんうん、終わったよ」
Bくん 「うん。今日やることは終わったよ」
Cくん 「うん。算数が少し残っているから、ご飯を食べたらがんばるよ」
まずは、Aくんのケースで、ちょっと考えてみたいと思います。
この場合、ママが、その言葉を鵜呑みにするのは、危険かもしれません。「終わったよ」とは言うものの、終わってないケースは、多々あります。そして、後になって「終わったって言っていたのに……」と、ママが嘆く。ありがちな日常です。
保護者の方からの問いかけに、「Cくん」のような返答がもどってくるように、発問の仕方を、ちょっと工夫してみる必要がありそうです。
「宿題は終わったの」という質問に対しては、「イエス」または「ノー」という返答で完結、というのが、本来、あるべき姿ですよね。
ですから、Aくんの答え方は、間違っているわけではありません。ただ、そういう問いかけの仕方ですと、「終わった」もしくは「終わってない」の二択になってしまい、いまひとつ、状況がはっきり伝わってきません。
子どもに対する望ましい声かけ
そこで、ちょっと、発問の仕方を変えてみましょう。例えば……。
「今日は、どんな勉強をやったの?」
「今日の宿題をやってみて、分かったことをお母さんに教えて」
こんな問いかけだったらどうでしょう。「終わった」・「終わってない」にとどまらないコトバを引き出せると、お子さんの学習状況が、保護者の方にも伝わりやすくなります。
大切なのは、勉強を管理するという観点から、宿題が終わった・終わらないを聞くことではありません。
「君が頑張っているのを、パパやママは応援しているよ」。そんなメッセージが、お子さんに伝わるような問いかけを、心がけてみましょう。
きっと、家庭学習も、スムーズにはかどるようになると思います。ぜひ、実践してみてください。