中学受験の学習では、各科目の宿題の量と、それにかける時間を確認し、お子さん主体でスケジュールを立てることが大切です。
今回は、お子さんが無理なく守れるような「スケジュール作り」について、お話をさせていただきたいと思います。
小澤 珠美
大学卒業後、15年間大手進学塾・株式会社早稲田アカデミーで、高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2009年度志望校別クラス・NN女子学院クラス総責任者。2010年に独立。
中学受験のスケジュールづくり
塾の先生からこんなお話があったとします。
「最近、〇〇君、宿題が最後まで終わってないことが何回か続いているんです。 大丈夫ですか何かありましたか」
その場合、必要に応じて、宿題の進行状況を、保護者の方もチェックをし、必要に応じて声がけをするといいでしょう、という話を申し上げました。それについて、もう少し、具体的にご提案させてください。
ご家庭でできることとして、「1週間の学習スケジュール」を、見直してみてはいかがでしょうか。
各科目の宿題は、どれぐらい出されていますか? そして、どれぐらいの時間をかけて、取り組んでいらっしゃいますか? それを確認したうえで、お子さん主体で、学習スケジュールを作成してみましょう。
塾の宿題というのは、学んだ内容を定着させるために出されている、というのがほとんどです。
もちろん、予習型の宿題が課されることもあるとは思いますが、復習型の宿題がメインとなっている学習塾が、圧倒的に多いと思います。
その場合、宿題を終わらせるのに、どのくらい時間がかかるのでしょうか?
たとえば、通っていらっしゃる塾で、週に2回、算数があったとします。その場合、1回目の算数の宿題の作業量はどのくらいでしょうか? 2回目の宿題は? あるいは、日々の計算練習には、どのくらいの時間がかかっているのでしょうか?
まずは、そんなことを具体的に、全て書き出してみましょう。仮に、塾の算数の授業が、1回90分だとします。そうすると、宿題にかかる時間は、それとほぼ同じ(90分)、もしくは、その1.5倍(135分。2時間強)ぐらいまで、というのが、ひとつの目安になるでしょう。
それよりも短い、という場合は、お子さんが手をつけていない宿題があるかもしれません。あるいは、塾の先生が、宿題の量を加減して、負担を軽めにしていることも考えられます。
逆に、時間がかかりすぎている、というケースもあるでしょう。ひょっとしたら、お子さんが宿題の進め方を、わかっていないのかもしれません(やらなくていいものまで手を出している等)。あるいは、授業内容が、じゅうぶんに理解できていないのかもしれません。
先に示した目安の時間と、お子さんの学習時間に「開き」がある場合には、塾の先生に、相談してみるのがいいでしょう。
学習スケジュールを組む際には、パパやママが一方的に決めるのは、避けましょう。あくまでも、お子さんの視線に立って、お子さん主体で作成するのが鉄則です。
保護者の方が一方的に作ったスケジュールを、お子さんが守れないのは、ある意味、当然です。
なぜなら、パパやママは、どうしても過度な期待を込め、ちょっとタイトなスケジュールをつくってしまいがちだからです。
おとなが30分で終わる課題でも、お子さんが同じ時間でこなせるとは限りません。むしろ、かなり「無理強い」になってしまうでしょう。
現実的に、お子さんが、時間に追いたてられずにペースを保てる、少し余裕を持ったスケジュールづくりを、心がけてください。
ご家族の方の見えるところ、リビングなどに、学習スケジュールを貼っておくのも効果的でしょう。「みんなで応援しているよ」というメッセージが、お子さんに伝わるでしょうし、お子さんも「がんばらなきゃな」と思ってくれるのではないでしょうか。
お子さんが、「自分が決めた予定で、自分で学習できる」。そんなスケジュールづくりを、ご家庭で目指していただきたいと思います。