学習塾の先生の「言い方がきつい」と感じたらどうすればいい?

模試やテストの成績が伸び悩むと、塾講師は「もっと頑張ろう」「このままでは志望校に届かないよ」と語気を強めがちです。

しかし、その厳しい声掛けを間近で聞く保護者の方は「言い方がきついのでは」と不安になり、お子さんもプレッシャーに押しつぶされてしまうことがあります。

この記事では進学塾で20年以上教壇に立つだけでなく講師の育成にも携わってきた経験から、「塾の先生が高圧的な口調になる背景」「子どもの心を守る家庭でのケア」そして「先生に改善を促す具体的な伝え方」を解説します。

本記事の監修者

モコスタ統括マネージャー
小澤 珠美

小澤珠美

大学卒業後、大手進学塾で高校受験・中学受験の指導に15年間従事。特に中学受験において、御三家中学をはじめとする超難関校の算数指導・受験対策・保護者のサポートに尽力し、合格実績に貢献。
その後独立してさらなる成果を出し続けモコスタ専属の指導者となる。これまでに蓄積したすべてのノウハウを投入し、モコスタに通う受験生全員の第一志望校合格を全力でサポートする。
著書:『中学受験超成功法「ママは楽しく息を抜く」』ギャラクシーブックス 2017年
共著:『未来を創る〜私たちが選んだ道〜 輝く女性起業家』ブレインワークス 2017年

目次

塾の先生の「言い方がきつい」と感じる子どもは一定数いる

長年塾業界に携わってきて、「○○塾は先生が厳しくて転塾したいです」「先生の言い方がきつかったり、先生と合わないと感じたりする理由で塾を辞めました」というご家庭には数多く出会ってきました。

「きつい言い方」とは何か、なぜそのようないい方になってしまうのかを、私なりに解釈しお伝えします。

そもそもきつい言い方とは何か

一般的に「言い方がきつい」とは、声量が大きいかどうかではなく、言葉の選び方と間の取り方が攻撃的に感じられる状態を指します。

たとえば「なんでこんなことも分からないの?」という否定的な問いかけや、「君には無理だよ」「もっと真面目にやれ」といった決めつけが含まれると、子どもは自分の価値を否定されたと受け取りやすくなります。

さらに、指示が一方的で、振り返りやフォローがないと、叱責だけが心に残り、成長のためのヒントを得る前に自尊心が小さくしぼんでしまいます。

特に思春期手前の小学生高学年から中学生は、言葉の裏にある評価や意図を敏感に読み取る時期です。

そのため、具体的に何をきついと感じたのかを早めに共有すると、後の対処がスムーズになります。

先生が語気を強める3つの理由

塾講師が語気を強める要因は大きく3つあります。

第1に「時間的制約」です。

限られた授業時間で大量の知識を定着させる必要があり、テンポを上げるために短く鋭い言葉を選びがちです。

第2に「競争環境」。

難関校合格者数が塾の看板になるため、講師は結果に責任を負っています。

生徒に緊張感を持たせることで集中を高めようとする指導文化が根付いている教室も少なくありません。

第3に「指導経験の浅さ」。

若手講師ほど語彙の幅が狭く、感情のコントロールが追いつかずに強い口調が出るケースがあります。

これらの理由を理解すると、講師側の事情と改善余地を客観的に考えやすくなります。

ただし、いずれの理由も必要悪ではなく、適切なトレーニングを受けた講師は目標達成へのプレッシャーと生徒の安心感のバランスを取る術を身に付けています。

したがって「理由があるから仕方がない」で終わらせず、指導の質を上げるためのフィードバックを行うことが大切です。

きつい指導がもたらすリスクとメリット

きつい言い方や指導がもたらすリスクやメリットについて紹介します。

自己肯定感と挑戦意欲の低下

きつい指導が長期化すると、子どもの自己肯定感が大きく下がり、学習への取り組み姿勢が消極的になるリスクがあります。

具体的には、授業中に質問しなくなり、宿題で分からない問題を飛ばして提出する、テストでミスを恐れて白紙で出すなど、挑戦を避ける行動が目立つようになります。

さらに「怒られないこと」が目的化してしまい、本来伸ばすべき思考力や表現力の成長機会を逃しがちです。

精神面では、塾のある日だけ腹痛や頭痛を訴える学校(塾)恐怖症の初期症状が見られることもあり、放置すると不登校や情緒障害へ発展する可能性も指摘されています。 

保護者が「成績が落ちたら困るから」と様子を見続けるほど、本人はSOSを出しづらくなるため、変化を察知したら早めに軌道修正を図ることが重要です。

信頼関係があれば喝が刺激になる

一方で、厳しい言葉でも指導者との信頼関係が前提にあれば、短期的なモチベーションを一気に上げるスイッチとして機能することがあります。

たとえば、的確な課題提示と合わせて「君なら絶対できる」と背中を押すニュアンスが含まれていれば、生徒側は喝を前向きなサインとして受け取り、集中力や持続時間が伸びるケースが多いです。

また、入試直前期の追い込みでは、適度な緊張感が合格ラインへの距離を具体的に自覚させ、セルフマネジメント力を高める効果も期待できます。

つまり、厳しさそのものが悪いのではなく、信頼・敬意・目的共有という三要素を伴うかどうかが成果を左右します。

保護者は表面的な口調の強さではなくその後に続くフォローと言語化された指針の有無をチェックし、建設的な厳しさかどうかを見極める視点を持つことが求められます。

モコスタの中学受験クラスでは、毎月の個人面談で本人の悩みや困りごとをヒアリングし、講師からのフィードバックもお伝えしています。前向きな気持ちで学習に取り組めるよう、また、信頼関係をより強固なものにできるような時間にしています。

塾の先生と合わないと感じたときにやるべきこと

次に、「塾の先生とうちの子が合わないかも?」と感じた際に保護者がやるべきことをお教えします。

もちろん、一概には言えませんが、参考にしていただき、大切なお子さんの塾選びの材料にしてください。

指導方針と実績の確認

先生と合わないと感じたら最初に行うべきは、指導方針実績の確認です。

具体的には、塾のパンフレットやホームページで掲げている指導理念を読み返し、保護者説明会や面談で語られた言葉と照合しましょう。

「自立学習を促す」と言いながら実際には叱咤中心のトップダウン型指導になっていないか、「個別最適化」を謳いながら画一的な課題を強いていないかなど、言行不一致を探すことで問題の本質が見えやすくなります。

また、その先生が担当した過去のクラスの合格実績や保護者アンケートの評判を教室長に確認すると、単なる相性問題か指導力の課題かを切り分ける手がかりになります。

データと理念の両面から情報を集めることで、感情論に流されず冷静に状況を判断できるため、次のアクションを決めやすくなります。

お子さんの表情・発言を観察

毎日のさりげない観察が効果的です。

たとえば帰宅直後の表情が曇っていないか、夕食時に会話が弾むか、就寝前に「明日の塾イヤだな…」と漏らしていないかなど、ごく自然な時間帯にサインが現れます。

子どもは親に心配を掛けないように本音を隠しがちですが、行動や生活リズムの変化は嘘をつけません。

急に勉強机を片付けなくなる、好きだった教科でも質問を避ける、日曜の夜になると腹痛を訴えるといった兆候が続く場合は、ストレスが蓄積しているサインです。

観察メモを取って可視化すると、後で塾へ相談するときに説得力のある材料となります。

小さな変化でも記録する習慣を持つことで、保護者自身が感情に左右されず、子どもの心の揺れを客観的に捉えられるようになります。

他の保護者・教室長にヒアリング

 「うちの子だけが厳しく当たられているのでは」と感じたら、同じクラスの保護者や上級学年を経験した先輩保護者に話を聞いてみましょう。

複数の家庭で同様の悩みが出ている場合は、指導スタイルの問題が構造的である可能性が高まります。

逆に自分の子どもだけが強く感じている場合は、性格特性や学習進度が影響しているかもしれません。

また、教室長や副室長にヒアリングするときは、感情論ではなく「いつ・どの場面で・どんな言葉があったか」という具体例を示すと、組織として改善策を講じやすくなります。

家庭でできるお子さんへの心のケア

「きつい言い方をされた」と感じてしまうと、子どもは精神的に不安定になりかねません。

そうなると学習に身が入らなくなる可能性も。

ご家庭でできるお子さんのメンタルケア方法をお教えします。

安全な場所の確立

家庭は、子どもにとって最も安心できる安全な場所であるべきです。

塾で緊張した心を解きほぐす場所がなければ、学習の頑張りを継続するエネルギーが枯渇してしまいます。

具体的には、帰宅直後に「おかえり、今日もお疲れさま」と声を掛け、否定的な評価を一切差し挟まずに抱きしめる、好きな飲み物を差し出すなど、条件付きでない受容を示します。

その上で「今日の授業で面白かったこと教えて」とポジティブな問いかけから入ると、嫌だった出来事も話しやすくなり、ストレスを言語化して外に出すデトックス効果が期待できます。

この安心感の積み重ねがあるほど、塾で多少厳しいことを言われても「家に帰れば受け止めてもらえる」という内的安全感が育ち、挑戦を続ける精神的バッファーとなります。

感情の言語化を手伝う

子どもはモヤモヤした感情をうまく言語化できないため、大人が翻訳者になる必要があります。

おすすめは「出来事⇒気持ち⇒理由⇒今後どうしたいか」の順で整理するフレームワークです。

まず「先生に『まだ理解が浅い』と言われてどう感じた?」と出来事を確認し、次に「悲しい?悔しい?」と複数の感情ラベルを提示します。

続いて「なぜそう思ったの?」と理由を引き出し、最後に「次に似た場面が来たらどうしようか」と行動プランを一緒に考えます。

この対話を繰り返すと、子どもは自分の感情に気づき、建設的に対処するセルフマネジメント力が身につきます。

感情を言語化できる子ほど心理的安全性が高まり、厳しい環境でも折れにくいしなやかな心を育てられることが多くの教育研究で示されています。

家では努力プロセスを評価

塾ではテスト得点や順位といった結果指標が強調されがちですが、家庭では逆にプロセスを評価することでバランスを取りましょう。

例えば「間違い直しノートを丁寧に書いた」「タイマーを使って集中していた」「自分から質問を考えた」など、可視化しにくい努力を言語化して褒めます。

具体性のあるフィードバックは、脳内報酬系を刺激し、次回も同じ行動を取りやすくする内発的動機付けにつながります。

さらに「昨日より5分早く取り組めたね」と微変化を称えると、自己効力感が積み上がり、厳しい指導を受けてもできることに意識が向くためネガティブな言葉の影響を最小化できます。

結果と過程の双方で評価軸を持つことで、子どもは失敗を成長の糧として活用する思考習慣を身につけ、長期的な学習耐性が強化されます。

塾講師へのおすすめの伝え方

塾講師のきつい言い方の改善を促したい場合、相手にどのように伝えればいいでしょうか。

避けたいNGワード3選

塾講師に改善を求める際、感情に任せた言葉は逆効果です。

特に「先生のせいで成績が下がった」「○○先生より教え方が下手ですね」「そんな言い方じゃ誰もついていきませんよ」などの言い方は避けるようにしましょう。

これらは相手の人格や能力を全否定しており、受け手は自己防衛本能が働いて聞く耳を閉ざします。

その結果、問題の本質に目が向かず、表面的なやり取りで終わるため、状況が悪化する恐れがあります。

さらに、教室内で噂が広まると講師だけでなく他のスタッフも警戒心を抱き、塾全体とのコミュニケーションが取りづらくなるリスクも。

家庭・塾・子どもという三者連携のパイプを詰まらせないためにも、批判ではなく事実と要望の整理を最優先にしましょう。

改善を促すポジティブクッション法

ポジティブクッション法は、①感謝→②事実→③要望の順でコミュニケーションを構築し、相手の自尊心を守りながら改善を促す手法です。

まず「いつも熱心なご指導ありがとうございます」と努力を認め、次に「先日◯◯と声を掛けて頂いた際に、少し元気がなくなっている様子でした」と客観的事実を示します。

その上で「励ましの言葉も添えて頂けると、本人はもっと頑張れると思います」と具体的な要望を伝えると、講師は攻撃されたと感じにくく、提案として受け取りやすくなります。

加えて「数学の解説が分かりやすいと本人が話していました」などポジティブな体験を挟むと、講師は承認欲求が満たされ、改善行動へのモチベーションが高まるという心理学的メリットもあります。

さいごに

塾講師の口調がきついと感じたら、まずは理由を理解し、子どもの心身の変化を丁寧に観察しましょう。

塾と家庭は対立構造ではなく協同パートナー。

大切なのは、子どもの心を守る視点を中心に据えつつ、保護者自身も講師と同じチームであると自覚することです。

ただし、どうしても合わない場合や改善が見込めない場合は退塾や転塾を視野に入れて行動することをおすすめします。

大切なお子さんが前向きに学習しながら、第一志望校合格できることを願っています。

モコスタとは?

モコスタは、経験と実績豊富な講師が中心となり学習指導を行う学習塾です。

補習を中心とした個別指導から、小学1年生から6年生までの本格的な集団指導まで、受験合格に向けたサポートを行います。

コース/クラス名概要
ベーシック小学1年生から中学3年生の補習クラス。学校の授業・受験勉強の補習を行います。
マンツーマン小学1年生から中学3年生の完全マンツーマンクラス。学習塾の予習・補習や、苦手科目の重点的な学習を行います。
アドバンスクラス小学1年生と2年生を対象に、楽しく学習しながらも主体的に学ぶことを重視している集団指導クラスです。
中学受験クラス小学3年生から6年生を対象に、本格的な受験対策を行う集団指導クラスです。

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